- ことばの種
「反応しない」という反応
ある保護者の方のお話。
センターではとても聞き分けよく、概ねスムースに活動に参加できるAちゃんですが、お家では、自分の思いを通そうとすることも、それなりにあるのだそうです。
そんな中、お母さんの、Aちゃんの行動に対する受け止め方で、素敵だなと感じたことがありました。
Aちゃん、時々お母さんの声かけを「無視」するのだそうです。
「ちゃんとお話を聞かない」「反抗的」などと受け取られがちな行動です。
でも、Aちゃんのお母さんは違いました。
「したくないことを促された→しないといけないのはわかっている→でも、したくないの❗️」
…という、Aちゃんの葛藤を読み取り、「納得して応じるために必要な過程」と捉えていました。
この洞察は、本当にすごいと思います。
楽しい活動を終了して、好きではない活動に取り掛かることは、誰だって気が重いものです。
まして小さな子どもなら、気持ちの切り替えは難しいでしょう。
そこにことばを重ねて促すことは、かえって心の整理の妨げになる場合があります。
愛情を持って観察し、Aちゃんが応じられる方法を考え、試行錯誤したからこそ、そのことに気づけたのでしょうね。
「促しに応じない」「問いかけに答えない」という行動は、Aちゃんのお母さんが読み解いたように、もしかしたら「それはしたくないよ」「いやだよ」など、子どもなりのお返事かもしれません。
また、心の中で、「いやだけど、やらなくちゃ…」と、切り替えようと頑張っているのかもしれません。
声かけや促しに「反応しない」のは、必ずしも聞いていなかったり、反抗したりしている訳ではありません。
「反応しない」ということ、それ自体が子どもからの「反応」なのです。
こうした「ことば」にならない、子どもたちの思いを、読み取ってあげたいですね。
今回は、大人の働きかけに子どもが「反応しない」についてお話ししました。
子どもの言動に対して、大人があえて「反応しない」ことが、望ましい行動を身につけるために効果的な場合もあります。
このことについては、また別の機会にお話しできればと思います。
文責:自動発達支援センター伊予くじら ST