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  • ことばの種

「落ち着いたよ!」

「落ち着いたよ!」

降園前、おもちゃのお片付けが嫌で怒ってしまったAちゃん。

バスの中でも、時々思い出したように「えーん!」と泣き声を上げます。

でも、実はAちゃん、泣きながらもお片付けはちゃんとしたんですよ。

問題は解決していて、それでも、嫌だった気持ちが整理できずに苦しんでいたのでしょう。

こんな時、効果的な対応は、それぞれのお子さんによって違うのですが、Aちゃんの場合は、声かけを控えめにして、静かに見守る方が早く落ち着くようです。

実は、自分なりに気持ちをおさめようとしているところに、ことばを重ねると、そのことが刺激になって、かえって混乱するお子さんは多いです。

この見守りは決して「放っておく」ということではありません。

お子さんが落ち着くまで、静かに反応せず待つことが子どもへのサポートになることがあります。

さて、モヤモヤと不快な気持ちをどうにかしようと、隣に座っていた私の肩にもたれたり、泣いたりして奮闘していたAちゃんでしたが、ふと、自分のリュックに視線をやり、

「先生、タオルが欲しいの。」と言います。

自分で取る?それとも先生が取ろうか?と問いかけると、

「先生に取って欲しい。」と。

Aちゃんの承諾を得て、リュックを開け、タオルを取って手渡すと、泣き濡れたお顔を拭いて…。

「落ち着いたよ。」とにっこり😊

本当は、Aちゃんはリュックを開けたり、中の物を取ったりするのに、大人の手を借りなくても、自分でできます。

多分、「お片付けをしたくない」という要求を受け入れてもらえなかった、悲しい気持ちをおさめるために、別の要求を「いいよ」と認めてもらうことが必要だったのでしょう。

大人の立場だと、こうしたプロセスなしに、すぐに気分を切り替えられればいいのに(または、それが当たり前)と思うかもしれません。

でも、それが難しいのが「子ども」です。

(それに、自分で自分の機嫌をとれない人、大人にだって結構いませんか?)

泣いて、怒って、苦しみながらも、自分で切り替える方法を見つけたAちゃんを、私は本当に偉いと思います。

「こうすれば落ち着く」という手段を、かかわる大人も一緒に試行錯誤していくことが、自分の気持ちの調節(自己コントロール)をする力を育てることにつながります。

(そうは言っても、小さな子どもです。長い目で見てあげてくださいね。)

また、「わかっているよ」「がんばっているね」と温かいまなざしを向けられ、今回のAちゃんのように、落ち着いた後に「自分の気持ちをお話できてえらかったね」と、その行動をことばにして認められることも必要だと思います。

それから、子どもが落ち着いて行動するために、その子の意思を確認することも、有効な方法です。

今回で言えば、「タオルを自分で取るか、取って欲しいか?」や、「リュックを開けてもいいか?」と、Aちゃんに問いかけたことが、そのことに当たります。

子どもが怒る理由は色々ありますが、「自分の思いを聞き入れてもらえない」「意思を尊重されない!」という気持ちが根底にある場合も多いからです。

何でも言う通りにはしてあげられませんが、大人の考える「望ましい行動」に応じようとがんばっている子どもに、「どっちがいい?」「手伝ってもいい?」など、その場面、その子の気持ちに寄り添い、次の行動に移るきっかけになるようなことばがけ、支援をセンター全体で共有しています。

そうすると、気持ちを尊重されたことを肌で感じ、和らぐ子どもが多いことも事実です。

(ただし、「〇〇します」「今は〇〇をする時です」と、明確に伝えた方が良い場面もあります。これはどっちかな?と、判断に迷うケースがあれば、ぜひご連絡ください。一緒に考えましょう。)

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