- ことばの種
「にほんご」
センターには、本好きな職員がたくさんいます。
時には、それぞれのお気に入りの1冊を貸し借りすることもあります。
そんな中、あめチームのK先生からオススメされて、思わず私も買ってしまった本を紹介します。
安野光雅,大岡信,谷川俊太郎,松居直(1979)
「にほんご」福音館書店
文部科学省の学習指導要領とは異なる観点から編まれた、小学1年生向けの「国語の教科書」とされています。
教科書として使用するか否かは、ともかく、ことばの面白さ、深さ、広がり,コミュニケーションの楽しさを感じさせる、素敵な本です。
この記事だけで、内容を説明するのは難しいのですが、私が「この本、私も買う!」と思う決め手となった部分を抜粋します。
「言語を知識としてというよりも、自分と他人との間の関係をつくる行動のひとつとして、まずとらえています。(中略)ことばは口先だけのものでも、文字づらだけのものでもなく、全心身をあげてかかわるものだということを、子どもたちに知ってほしいと思います。」(あとがきより)
これは、常日頃、「ことば」というものについて、抱きながら、うまく説明できずにいた思いでした。
ある程度の年齢、発達段階になれば、正しい単語、文法で話すことや、正しい文字を書くこと、正確に読むこと、上手に話すことも、大切な要素の1つではあります。
でも、まずは、他者との「関係をつくる」ため、心の根底からあふれるものを、表現し、また、受け取るための方法であるはずです。
私たち大人は、子どもたちに(大人が考える)正しいことばを、求めてしまいがちです。就学を控えた年長さんに対しては、特にそうなりやすいかもしれません。
相手に伝えたい!(相手のことを)わかりたい!という、子どもたちの純粋な気持ちを、1つ1つ拾い上げ、「伝わった!」という喜びの経験を増やすことこそ、本当の意味でのコミュニケーションを育てることにつながるのではないでしょうか?
上手にお話しできなくても、間違えても、いいんです。
「コミュニケーションって、人と関わることって、面白いね、素敵なことだね。」
1年生になる、お兄ちゃん、お姉ちゃんにも、これから「ことば」を身につけていく小さいお友だちにも、ことばの楽しさを伝えていきたいですね。