- ことばの種
「うるさーい!」
時々かんしゃくを起こしてしまう、Aちゃん。
「かんしゃく」というか…、その場面での望ましい振る舞いがわかっていて、でも、そうしたくなくて。
だけど、「ちゃんとできる」自分でありたくて…。
なんとか自分の気持ちに折り合いをつけようと、煩悶(はんもん)しているように見えます。
最近のAちゃんは、思いが叶わない時、最初は「イヤだ、やらない!」「でも、したくないんだ」と、ことばで訴えながら、怒ります。
そして、どうしても叶わないのだとわかると、今度は「うるさい!」「静かにして!」と、職員の声かけが受け入れにくくなるようです。
良くない行動、乱暴なことばだと思いますか?
…もう少し柔らかい表現になったらより望ましいですが、このAちゃんの「うるさい!」、決して大人に反抗しているわけではないんですよ。
子どもがかんしゃくを起こしている時、なだめたり、さとしたりするために、矢継ぎ早に声をかけてしまうことがあります。
ですが、「〜したい!」「イヤだ!」という思いでいっぱいになって、混乱してしまっているところに、たくさんのことばをかけられると、そのことが刺激となり、ますます混乱してしまいます。
(大人の場合でも、すごーく忙しくて「テンパって」いる時に、話しかけられると、内容が頭に入らなかったり、イラっとしたりしませんか?)
ともすれば「反抗的」「ことば遣いが悪い」と捉えられかねない、Aちゃんの「うるさい!」
Aちゃんが、自分で気持ちを整理しようとして(このこと自体も、とてもエラいと思います。)、大人の声かけがその妨げになることに気づいたからこそ、出てきたのでしょう。
実は、Aちゃんの成長がうかがえる、すごいことばなんですよ。
今回の記事で言いたいのは2点。
①声かけは、短く、少なめに。
言語習得のための「ことばのシャワー」は大切ですが、かんしゃくを起こしている時には、かえって混乱してしまいます。
安全が確保できる状況なら、少し離れて黙って見守ることが有効な場合もありますよ。
②「困った行動」は、本当に問題?
一見良くない行動に見えても、その子なりの理由があることがあります。
愛情を持って観察し、なぜ、その行動をするのか?本当はどうしたいのか?を、大人が見つけてあげると、解決につながることがありますよ。
…とはいえ、その子自身にも、どうしたいのかわかっていないこともありますから、本人ではない私たちがそれを読み取るのは、難しいこともあります。
困っていること、気になる行動があれば、ぜひ、私たちに教えてください。
お子さんの気持ちや、その時の状況を整理して一緒に考えていきましょう。