- ことばの種
視界に入ることが大切
遊具を目指して走って行く子どもに、「待って!」
虫やお花を観察する子どもの肩越しに「何見てるの?」
子どもの背後から声をかける機会は多いですね。
そんな時、お子さんは、大人の声かけに注意を向けて、聞けているでしょうか?
子ども達に声をかける時には、子どもの視界に入ってお話しするのが、注目して聞いてもらうコツの1つです。
ある日のエピソードを紹介します。
給食の時間、子ども達から少し離れたテーブルで、私も食事をとっていました。
ふとした瞬間に、思わぬタイミングでご飯粒が喉頭に…。
いわゆる「誤嚥」しかかった状況です。
ゴホンゴホン‼️と激しくむせ込みました。
それに反応したのが、1番近くのテーブルで食べていた3人のお友だちです。
3人の中で、直線距離では1番離れていたAちゃんは、びっくりして目を見開きます👀
距離的には離れていたのですが、むせ込む私の様子がはっきり見える位置だったので、特に驚いたようです。(ごめんね💦)
Aちゃんの向かいの席のBちゃん、Cちゃんからは、私が斜め横に見える位置でした。
「大丈夫?」「先生!」と、口々に呼びかけて、他の職員に助けを求めてくれました。
そして、私の「大丈夫だよ」のジェスチャーで、落ち着いて、自分の食事に戻ります。
意外だったのは、1番近い席に座っていたDちゃんです。
いつもなら、転んだり、泣いたりするお友だちに「大丈夫?」と、声をかけてくれるDちゃん。
全く反応せず、食事を続けました。
この時、Dちゃんは、ちょうど私に背を向ける形で座っていました。
声や音の発生源が、視界の外にあるだけで、こんなにも注意が向かないものなのだと、実感しました。
ヒトは、五感で受け取る情報のうち、8割を視覚に頼っていると言われます。
聴覚は1割程度です。
更に、ヒトの耳たぶは顔の前方に向けた集音器の役割を持っています。
視覚からの情報がない上に、顔の後方の音は、前方に比べ聞きにくいわけですから、後ろからの声かけには気付きにくいのも納得ですね。
①視覚情報の手がかりなしに、いろいろなことを理解するのは、難しいということ。
②後ろの音は聞こえにくいということ。
これらのことを考えると、私たち大人が、子どもの視界に入って、「今からお話をするよ」と、注意喚起をしてから、お話することが、子どもが「聞ける」ために必要な配慮だとわかると思います。
最後に付け加えると…。
声かけが「聞こえる」と、お話の内容が「わかる」は、同じではありません。
子どもがわかっているか、大人が注意して見守り、適宜、ジェスチャーや表情などで情報を補ってお話するためにも、前から話しかけることは、大切ですね。