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言語化することの効能

言語化することの効能

人間の使う「ことば」を、「内言(ないげん)」「外言(がいげん)」の2つに分類する考え方があります。

「内言」は、声には出さず、自分の頭の中で思考する道具としてのことば、「外言」は、声に出して、他者との意思伝達やコミュニケーションの道具として用いることばを指します。

普段、このブログで取り上げる、子ども達の「ことば」のほとんどは、外言にあたります。

意思伝達やコミュニケーションができれば、内言はあまり重要でないように感じられるかもしれませんね。

(とはいえ、他者にわかりやすく、ことばで伝えるためには、頭の中で考えや文をまとめる必要がありますから、外言と内言の発達には深い繋がりがあるのですが。)

さて、この「外言」が順調に育ちつつある、Aちゃんのことです。

Aちゃんは、今、パンツが苦手で、「登園したらオムツからパンツに履き替える」というミッションに苦戦しています。

お腹が痛いなど、どうしてもオムツで過ごしたい事情がある時には、そのことを切々と、ことばで説明できることが増えています。(えらい!)

それ以外の時には、葛藤してベソをかくAちゃんと、心を鬼にして譲らない私との間に、ちょっとしたバトル(ちょっと甘えてみたり、別の話題でごまかしてみたり…)が繰り広げられるのですが…。

そうしたプチバトルのあった日には、Aちゃん、必ずお昼寝の時に、そっとやってきて、「ねえねえ…。ちょっと、トントンしてくれない?」と、寝かしつけをねだります。

Aちゃんなりに、朝の小さな諍い(私としては、別に怒っているわけではないのですが💦)を気にして、関係の修復を図っているのかな?

かわいい、愛しいと思う反面、お昼寝までの数時間、密かに小さな胸を痛めていたのかと思うと…。

Aちゃん、しんどかっただろうな…。

こんな時、もしも「内言」がしっかり育って、1度、思考を整理することができたら…。

まず、自分が「いやだ」と感じることや、その理由を整理できれば、少し楽になるでしょう。

「感触が嫌なんだ。だから違うパンツにしよう」「面倒くさいんだ。でも、ずっと嫌だって言ってるより、履いちゃった方が早いかも?」「あれ?なんで嫌なんだっけ?もしかして、そんなに嫌じゃないかも…」等々。

子どもの「イヤだ」は、このように、なぜイヤなのか?どうすればイヤじゃないのか?が、子ども自身の中で、ふと腑に落ちると、解決する場合があります。

「なんか、イヤ…」という、はっきりしない状態は、子ども自身、どうしていいかわからず、困ってしまうのでしょうね。

それから、今は、心の隅っこで、朝のやりとりを気にしながら過ごした末に、きっかけになるような活動のタイミングで行動を起こしているAちゃん。

もしも、「先生、怒ってるのかな?甘えてみたら、受け入れてくれるかな?いつ、どうしたらいいかな?そうだ、お昼寝の時に、トントンしてって言ってみよう!」と、自分の次の行動を、はっきりと意識することができれば、そこで1度、心のモヤモヤを置いておくことができます。

私たちは、どうしても子どものことばについて考える時、音として聞こえ、わかりやすい外言にばかり注目しがちです。

ですが、心や行動の発達にとって、子ども達の心の中の言語(内言)の育ちもまた、とても大切なものです。

もちろん、内言と外言は表裏一体のものですから、内言の発達は、外言が育つことにも繋がります。

センターでは、子ども達が実際に発することばだけでなく、声として聞くことはできない、子ども達の心の中のことばにも、注意を向けて関わるように心がけています。

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