- ことばの種
電気を「つけて・消して」、「かちっ」
10月7日、松山市では、センターのある伊予市に先駆けて、秋祭りが行われます。
今日は、その前日に行われる「提灯行列」での1場面から。
提灯行列とは、地域の子ども達が秋祭り前夜(昔は当日を含む3日間くらいしていたような…)に、提灯を持って家々をまわり、「えんやや、ちょうさや」とかけ声をかけながら、玄関の中をぐるぐる回る行事です。
それだけと言えば、それだけの行事なのですが、お祭り前夜の高揚感と、夜、友だちと出歩ける非日常感は、子ども達にとってはなかなか楽しいものです。
さて、そんな中でのやりとりです。
私は、年少さんくらいの、近所の男の子と手をつないで歩いていました。
坊や、手に持った懐中電灯がうれしくて、スイッチをカチカチ。
電気をつけたり、消したりして遊び始めます。
家が密集している地区や、街灯の近いところならいいのですが、田舎の夜道は、場所によっては本当に暗いです。
自分の足元もよく見えません。
その上、歩道もよく整備されておらず、川があったり、崖があったり。
道端の藪には、蛇や野生の動物だっているかもしれません。
…暗いところでは、ちゃんと電気をつけていて欲しいなー。
「電気つけてね」と声をかけるも、坊やからは反応がありません。
私の顔を見上げて、ただニコニコしています。(かわいい🩷)
ふと思いついて、「〇〇ちゃん、電気、かちっ」と言い直すと、
「かちっ?」と言いながら、電気をつけてくれました。
この坊や、「電気をつける・消す」ということばは、知っていて、会話の中ではなんとなく使えるんですよ。
だけど、不意に大人からことばで求められた時、実際に「電気をつける」という行動に結びつくほど、しっかり理解できている訳ではなかったようです。
実は、小さな子どもと接していると、こんな風に「このことば、知ってるはずなのに、どうして伝わらないの?」と、大人が思ってしまうような場面が、わりとよくあります。
「ことばとしては、なんとなく知ってる。」
だから、状況や背景がわかって、自分なりに、そのことばと結びついている場面では、理解し、使うこともできる。
でも、(子どもなりの)文脈と関係なく、急に大人からそのことばを投げかけられるような場面では、意味や、求められている行動がわかりにくく、戸惑ってしまいます。
子ども達に伝えるためには、場面や様子を見て、適宜、より伝わりやすい方法を試してみることが、時には必要です。
「知ってるはず」のことばも、場面によっては、いつでもわかり、使いこなせている訳ではないのかもしれませんよ。
(加えて、分からなくて困っている時、とりあえずニコニコする…というのも、子どもにわりとよく見られる反応です。大人の声かけに応じない時、笑っているからといって、ふざけている訳ではないかもしれないということは、知っていて欲しいなと思います。)
ちなみに、「かちっ、つけて」「かちっ、消して」と、今わかる表現に、これから習得してほしい表現を添えて伝え続けることで、坊や、提灯行列が終わる頃には、「つけて・消して」だけで、応じられるようになっていましたよ。
今月の画像は栗。
センターのある伊予市、中山町の特産品です。